農家

納税猶予
 農家の相続にあたっては、農業の後継者が今後も農業を続けていくのか否かで方針が変わります。農業の後継者が今後も農業を継続していく場合には、「農地の相続税の納税猶予」を利用します。(農地に対応する一定の税額を猶予する制度)
 しかしながら、「農地の相続税の納税猶予」は農業を一定期間継続していくことが要件となっており、農業を廃業などしてしまうと税金はもとより、利息も収めなければいけません。農業を継続する先の見通しが立たない場合などは、あえて「農地の相続税の納税猶予」は適用しないで、相続税額を支払うという選択肢も考慮にいれるべきでしょう。

廃農・転農時の資金準備
 農家の相続にあたって、後継者が廃農・転農した場合には他の相続人等から財産分与が求められることがあります。農地は売却し換金するにも手間がかかりますから、他の相続人への財産分与のための資金を準備しておかないといけません。
 やはり、円満な相続のためには廃農・転農時の資金準備をしなければならず、手元資金で不足しそうな場合には生命保険などを活用して備えることが必要です。

代償分割資金の準備
 農家の相続にあたって、「農業を引き継ぐ人」と「引き継がない人」がいる場合には、農業を引き継ぐ人に農地を取得させなければなりません。農地が細分化されてしまうと農業の継続が難しくなりますし、税務的にも「農地の納税猶予」の適用が受けられなくなってしまいます。
 亡くなられた方の財産が農地以外にほとんど無い場合は、農業を引き継ぐ人に農地を相続させ、農業を引き継ぐ人から農業を引き継がない人へお金を支払う(代償分割金)ことで公平な分割にします。
 代償分割資金は、生命保険などを活用して、事前に準備しておくことが肝心です。